ベクトル空間
キーワード
ベクトル空間/部分空間/生成元/部分空間の次元/部分空間の基底/ベクトル空間の核/解空間/和空間/交空間
<ベクトル空間>
空でない集合Vが和と係数倍について閉じていて、(任意のu,v,w∈V, 任意の係数a∈R)に対し次の条件を満たすとき、Vを線型空間(ベクトル空間)という。
- u+v = v+u(交換法則)
- (u+v)+w = u+(v+w)(結合法則)
- u+0 = 0+uとなるベクトル0が存在する
- a(bu) = (ab)u
- (a+b)u = au+bu
- a(u+v) = au+av
- 1u = u
- 0u = 0
※
集合Vの任意の元u,vにおいて、その和がまたVの元になるとき「Vは和について閉じている」という。同様に、任意の係数aにおいて係数倍がまたVの元になるとき「Vは係数倍について閉じている」という。
<n個のベクトルの線形独立性の確認法>
<部分空間>
R^nのベクトルの組{a1, ..., ak}に対し、これらの線形結合の全体Wを
{a1, ..., ak}(生成元)で張られるR^nの部分空間という。
rank(a1, ..., ak) = l ≤ k のときlをWの次元といい、dimWと表す。a1, ..., akの中の線形独立なl個のベクトルをWの基底という。すなわち、Wの元で線形独立となるようなベクトルの最大個数lをWの次元という。
Wの基底と次元は行列[a1 a1 ... ak]に行基本変形をすることでもとまる。
まとめると、
部分空間Wにおいて、
dimW = a1,..., akの線形独立なベクトルの最大個数= rank(a1, ..., ak)
<核>
線形写像の行列をAとし、
Ax=0となるようなx∈R^kの全体を「Aの核」という。
Aを表現行列とする連立方程式Ax=0の解の全体と一致するので解空間ともいい、
KerA = K[a1, a1, ..., ak]で表す。解空間はR^kの部分空間となっている。
解空間の基底はAに対する行基本変形で求められる。
解空間の次元は dimK[a1, ..., ak] = k - rankA
基底を求めてからその個数でもよい。
<和空間>
V = L[a1, ..., an]
W = L[b1, ..., bk]
の和空間 V+W の元は c = a + b で表され、
V+W = L[a1, a2, ..., an, b1, b2, ..., bk]
dim(V+W) = rank[a1, a2, ..., an, b1, b2, ..., bk]
線形独立なベクトルを選ぶことでV+Wの基底を求められる。
<交空間(共通部分空間)>
V ∩ W の元cは
c ∈ V = {s1a1 + s2a2 + ... + snan | s1, ..., sn ∈ R}
c ∈ W = {t1b1 + t2b2 + ... + tkbk | t1, ..., tk ∈ R}
を満たす。つまり交空間はV + Wの解空間。
dim(V ∩ W) = dim V + dim W - dim(V+W)
交空間の基底は、和空間の解空間の基底に一致する。